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「好きだから動く」——イントレプレナーとアーティストが描く、混ざり合う価値のかたち


廃棄物や海洋プラスチックを素材に作品を生み出すアーティスト・藤元明さんの作品が、MIRAI LAB PALETTEのhubに展示されています。この展示を企画したのは、竹中工務店で「建築to建築リユース」に取り組むイントレプレナー・藤井康平さんです。

建設現場とアートの世界を行き来する中で育まれた二人の関係は、PALETTEという場を得て、展示やトークイベントへと発展しました。異なるフィールドの実践者が語る、「混ざり合う価値」の可能性に迫ります。


建設現場のイントレプレナー、PALETTEと出会う


竹中工務店 技術本部 新規事業技術開発グループ 主任 藤井康平さん
竹中工務店 技術本部 新規事業技術開発グループ 主任 藤井康平さん

——まず、藤井さんの普段の活動について教えてください。


藤井さん 竹中工務店で、社内起業家(イントレプレナー)として資源循環のビジネスに取り組んでいます。2年ほど前に自分でゼロイチの提案をして立ち上げたもので、今はリーダーとしてチームを率いながら、さまざまな企業との協業を進めているところです。


——PALETTEはいつ頃からお使いになっているのでしょうか。


藤井さん 2024年頃からですね。たまたま知り合いがコミュニティマネージャーの鎌北さんとつながりがあって、紹介してもらったのがきっかけでした。


——普段はどのようにPALETTEを活用されていますか。


藤井さん 2週間に1回ぐらいのペースで来ています。環境を変えて仕事をしたいときに使うのがメインですが、来たら来たで「今日はどんな人が来ているんだろう」とタッチパネルで確認したりもしますね。それに、鎌北さんがすごくアクティブに、いろんな人をつないでくれるので、たまに来ると新しいコネクションが生まれることもあります。


——具体的に、PALETTEがきっかけで何か発展したことはありますか。


藤井さん カジュアルな情報交換や面談のような場として活用したことは何度かあります。baseの一角を利用して技術のデモンストレーションを行ったことがありました。自動車の自動運転に使われるLiDAR技術を搭載したハンドタイプの端末で、PALETTE内を歩きながら空間を3Dスキャンしてみせる、という実演です。当時はまだ出始めの技術で、見た方々もかなり驚いていました。


——すぐにビジネスに直結するかはわからない段階でも、まず試してみたと。


藤井さん そうですね。リアルな場があって、ふらっと来ている人がいるからこそ、「とりあえずやってみよう」ができる。普通のオフィスではなかなかそうはいきません。


「好きだから動く」——アーティスト藤元明との出会い


アーティスト 藤元明さん
アーティスト 藤元明さん

——今回の展示を手がけたアーティストの藤元さんとは、どのように出会われたのでしょうか。


藤井さん 共通の知人で、100%リサイクルプラスチック板材「REMARE」を手がけている間瀬雅介さんを介して知り合いました。間瀬さんから「藤元明さんというアーティストがいる」と聞いたとき、建設現場で資源循環に取り組む立場として、廃棄物からアートを生み出すという活動にすぐ興味を持ちました。「ぜひ現場を見に来てください」とお声がけして、竹中工務店の建設現場をご案内したのが最初の接点です。


——藤井さんからの誘いを受けて、藤元さんはどう思われましたか。


藤元さん 単純に「見てみたい」と思いました。自分がやっているのは個人レベルの制作活動ですが、建設会社の資源循環は圧倒的なスケールで展開されています。現場の監督さんから「20年ぐらい前から取り組んでいる」「昔は燃やしていたものも、今はすべて管理してリサイクルしている」といった生の話を聞くと、やはりすごみを感じますし、純粋に勉強になりました。僕が扱っている海洋ごみは、そうした管理の網から外れて海に流出したものたちですから、根っこのところでつながっているんです。


——藤元さんご自身の活動について、改めて教えてください。


藤元さん 現代美術の領域で活動しているアーティストです。身の回りにある廃材や海洋プラスチックなど、本来は「使い終わったもの」を素材として扱い、彫刻やインスタレーションを制作しています。


テーマとしてはエネルギーや社会課題に関心があるのですが、活動家のように主張をしたいわけではありません。ある時代に「正しい」とされていたことが、時代がひとつずれると間違いだったとわかる——そういう矛盾や揺らぎを、フィジカルな作品として提示し、「解けない問い」として展示する。それが自分の制作の核にある考え方です。


——藤井さんが藤元さんの活動に惹かれる理由は何でしょうか。


藤井さん 僕は「好きでやっている人」にはかないませんし、そんな人に惹かれます。逆に、自分の行動を「やりたいからやっている」にマインドセットできてない人ーーつまり誰かから言われて「キャリアのために仕事をしている」人には、魅力を感じないのです。


藤本さんの生き様やその作品からは、強烈な個性を感じます。そんな方を見つけたら、すぐにお近づきになりたいと思います。そういった背景もあり「僕が(藤元さんに)勝手に惚れて、今に至る」という感じです。


PALETTEのhubに作品が並ぶまで


現在、hubに展示されている藤元明さんの作品群
現在、hubに展示されている藤元明さんの作品群

——今回、藤元さんの作品がPALETTEのhubに展示されることになった経緯について、教えてください。


藤井さん hubのイベントスペースには、スタートアップのプロダクトが展示されていますし、会員さんの中にはものづくりに関わる会員さんもいらっしゃいます。ただ、あのスペースにはまだまだ可能性があり、何かやれたらと常々感じていました。


藤元さんの作品はインパクトがものすごくあるので、あそこに展示したら面白いんじゃないかと。それで鎌北さんに「ここ全部使わせてもらえませんか」と相談したんです。


——藤井さんの中で、藤元さんの作品とPALETTEの空間には親和性があると感じていたそうですね。


藤井さん PALETTEは「混ざって生きる新しい未来」を掲げていて、いろんな背景や技術を持った人が集まり、新しいものが生まれる場所です。藤元さんが海洋ごみから作るアート作品にも、同じ構造があると感じました。もともと誰かに大切に使われていた価値あるものが、役目を終えて単体では価値を失ったように見える。でも、それらが混ざり合ってアートになることで、まったく新しい価値が生まれる。見た目の色味やテクスチャーだけでなく、そうした思想的な部分でもPALETTEと共鳴するものがあるなと思いました。


——この提案を受けて、藤元さんはどう感じましたか。


藤元さん 作品が人の目に触れる機会は、アーティストにとって非常に大切なものです。ギャラリーでアートに関心のある方だけに向けて発信するスタイルもありますが、僕が扱っているテーマは社会との接点が強いものなので、むしろビジネスパーソンの方々に見ていただける場はありがたいと感じました。さらに言えば、ここで作品を見て興味を持ってくださった方と「何か一緒にやりませんか」という話に発展すれば、それはとても嬉しいことです。


——現在展示されている作品について教えてください。


藤元さん 海岸に漂着したプラスチックを主な素材として溶かし、再構成した壁掛けの作品シリーズです。今回は、あえて大きなサイズのものを選びました。小さな作品をいくつも並べるより、スケール感のあるもののほうが、普段アートに触れる機会の少ない方にとっても新鮮な体験になるのではないかと考えたからです。


——展示期間中にトークイベントを開催することになった経緯も教えてください。


藤元さん せっかく作品を展示しているのに、ただ置いてあるだけではもったいないなと。PALETTEはメンバー限定のクローズドな空間ですから、むしろその環境を活かして、作品の解説を含むトークセッションをやったらどうかという話をしたんです。


藤井さん アート作品って、作品そのものの価値に加えて、「誰が、どんな思いで、どうやって作ったのか」を知ることで、また違った価値が見えてくるものだと思っています。直接話を聞ける機会をつくるのは、この作品にとっても最高だと思いました。それで「いいですね、やりましょう」と一気に話が進みました。


PALETTEから生まれる、次の「混ざり合い」



——今後、PALETTEで仕掛けてみたいことはありますか。


藤井さん PALETTEにはいろんな業種の企業が集まっていますよね。それぞれの事業活動から出る廃棄物——いわば「代表的なゴミ」を持ち寄って、そこから作品やプロダクトを生み出すというプロジェクトができたら面白いなと思っています。


まさにPALETTEの「混ざり合い」のコンセプトそのもので、ここでしかできないものが生まれる可能性があるのではないでしょうか。


藤元さん 僕はここでアートフェアをやってみたいですね。ビジネスパーソンの方にとって、アートを「見る」ことと「買う」ことの間には大きな距離があると思うんです。でも、作家が目の前にいて解説をしてくれて、価格もわかる状態で出会えたら、その距離はぐっと縮まる。ギャラリーにわざわざ足を運ぶのとは違う接点から、アートの世界の深さと広さに触れてもらえる機会をつくれたらと考えています。



二人の対話から見えてきたのは、「好き」という感情が人を動かし、異なるフィールドをつなぎ、予想もしなかった価値を生み出すという、PALETTEが体現しようとしている未来そのものでした。


hub に展示された藤元さんの作品は、その「混ざり合い」の象徴として、訪れるメンバーに新たな問いを投げかけ続けています。

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