「思いがけない出会い」も「思い描いた出会い」も——PALETTEご縁日がつなぐ共創の広場
- MIRAI LAB PALETTE 運営事務局

- 6 日前
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9月24日(水)、MIRAI LAB PALETTE(以下、PALETTE)で「『PALETTEご縁日!』共創がはじまる出会いの広場(以下、ご縁日)」が開催されました。13:00〜19:00まで、PALETTE会員を対象に、申込不要・入退場自由で参加できるイベントです。リニューアル初回となる今回は、自治体や企業のほか、商品販売や相談/壁打ちブースなどの計11ブースが出展しました。
参加者はブースを自由に巡りながら会話を交わし、出展者同士の間でも新しいつながりや共創のきっかけが生まれていました。初めて訪れた方も気軽に楽しめる雰囲気で、「つながりが、次の一歩をつくる」というテーマを体現した今回のご縁日。これからPALETTEの定番になりそうな予感が漂っていた、そんなイベントの様子をご紹介します。
ハードル低く、カジュアルに混ざれる場所
多種多様なメンバーが集まるPALETTE。会員数は8,500人を超え、マッチングやイベントを通じて日々さまざまな出会いが生まれています。
今回の「ご縁日」は、そんなPALETTEのなかでも特にカジュアルなイベントのひとつ。入退場自由で予約も不要、出展者のジャンルも多岐にわたります。その源流は、2021年にコロナ禍明けの交流不足を補うために始まった「MOKU MOKU会」。10人ほどの小さな集まりから始まり、仕事をしながら交流を深めるコンセプトで開催していました。やがてより大規模に交流を広げるための「コワーキングデー」へと発展し、1日で100人が集まるほどの盛況を見せました。その後は自然と人が集まるようになり、ジャンル特化型のイベントや交流会へと広がっていきました。

テーマに特化したイベントや交流回も好評でしたが、「もっと気軽に、自由につながれる場がほしい」というニーズも根強く、その声に応えるべく生まれたのがご縁日。一対一の顔合わせや長時間のイベントとは違い、入退場自由・予約不要で参加でき、ジャンルを問わず多彩なブースが集まるのが特徴です。カジュアルな場でありながら、会場にはコミュニティマネージャーが常駐し、参加者同士をさりげなくつなぐ役割を担っていました。
また、出展者は事前に「こんなマッチングをしたい」という希望を提出し、ワークスペースの掲示やメールマガジンを通じて、参加者の興味を引き出す工夫も行われていました。技術デモやトークイベントとは異なり、盆栽から防災、キャンディや弁理士への知財相談まで、ジャンルを超えたブースが並ぶ光景は、まさにPALETTEの多様性を象徴するものでした。

PALETTE コミュニティマネージャー 鎌北「ご縁日はPALETTEの多様性を象徴するイベント。出展者のジャンルもあえて揃えず、バラバラな要素が混ざることで、この場所のカオスや面白さを感じてもらえたら嬉しいです。」
きいてみる防災(株式会社ON-WORK)
ここからは、ご縁日に出展したブースの一部をご紹介していきます。

「きいてみる防災」は、ドキュメンタリー映像監督・古波津陽さんが立ち上げたプロジェクト。長年にわたり福島をテーマに10本以上の作品を手がける中で、災害大国である日本で防災教育が不足していると感じたことが活動の原点になりました。ドキュメンタリーを観て考えるだけでなく、そこからカードを使ったアイデア発想法やグループワークへ展開し、参加者が自分ごととして防災に向き合えるプログラムを提供しています。
福島の高校生が出した「お祭りの道を避難経路に重ねる」というアイデアは、避難訓練と日常の楽しさを組み合わせることで、防災を特別なものではなく身近な行動として捉え直す試みにつながりました。ワークショップでは「駅」「漬物」「お笑い」などランダムな言葉を引き、防災と掛け合わせて考えます。たとえば「駅」であればベンチ下に備蓄品を置くアイデアが、「漬物」であれば避難所で漬物づくりを習慣化する発想が生まれるなど、日常に根ざした工夫が次々と広がっていきます。

PALETTEとの出会いは、福島県の連携拠点ナミエシンカを通じて生まれたもの。創業初期にナミエシンカで多くの支援を受け、その後は東京で活動する際の拠点としてPALETTEを利用しています。
「防災のニーズは思わぬところにあります。学校や自治体だけでなく、コンクリート会社さんとコラボすることもありました。業種を超えた出会いによって活動の幅が広がっていくのは、PALETTEならではの魅力です」と古波津さんは語ります。
11月にはPALETTEでのワークショップも予定されており、さらに多様な企業や人々との出会いを通じて、新しい防災の形が広がっていきそうです。
Mr.CANDY(合同会社 Chronico)+gf.Z株式会社

会場では、縁日らしい華やかさを演出する特別なキャンディやわたあめが販売されていました。出展したのは、越谷市蒲生に実店舗を構えるキャンディショップ Mr.CANDY。11年間の修業を経て独立した職人が手がけるキャンディは、独自の製法と多彩なフレーバーが特徴です。なかでも、猫の毛のようなふわふわ感を再現した「UCHINO KO KE」はSNSで大きな話題を呼んだ商品です。
同じ机に並ぶのは、次世代蓄電池の開発を手がける gf.Z株式会社。この意外な組み合わせは、Mr.CANDYでは営業を、gf.Zでは執行役員部長を務める平野雅丈さんが橋渡しをしたもの。普段PALETTEを利用する中で「挨拶代わりにキャンディを配っていた」ことがきっかけとなり、縁日らしい出展が実現したといいます。

「PALETTEはいろんな人が集まりますし、テーマに縛られない自由さがある。集まる人との会話も興味深く、安心して出展できます」と平野さんは語ります。エネルギー事業である電池開発と、誰もが笑顔になる甘いお菓子。まったく異なる分野が同じ机に並ぶ光景は、ジャンルを問わないPALETTEご縁日ならではのものです。
さらにMr.CANDYでは「地域の特産品の味を大人のわたあめにアレンジする」といった自治体や企業とのコラボも募集しており、食とテクノロジーの融合が新しいご縁を広げる可能性を感じさせました。これからのご縁日の定番ブースとなるかもしれません。
株式会社SOYMIL

株式会社SOYMILは2021年に創業し、「食」と「循環」をテーマに事業を展開する企業。国産大豆と専用ブレンダーを使って自宅で豆乳を作れるキット「SOYMIL」と、生ごみを堆肥化して循環型ライフスタイルを提案する「ROOF」という二つのブランドを展開し、製品企画から製造・販売までを一貫して行っています。
代表の佐藤航平さんは、中国や台湾で根づく「豆乳を自宅でつくる文化」に触れた経験と、コロナ禍で販路を失った友人の大豆を活かしたいという思いから事業をスタートしました。クラウドファンディングでは760万円を集め、以降、地域資源を活用した持続可能な食文化づくりを進めています。

PALETTEとの縁は、住友商事に勤める大学の後輩や、つながりのあった茨城県の東京事務所の方がPALETTE会員だったことから生まれたそう。「生産者さんと繋がることが重要な事業なので、同じ思いや価値観を共有できる場はありがたいです。PALETTEは取引ありきではなく、思いでつながる交流ができる貴重な場所だと感じています」と佐藤さんは教えてくれました。
これまでに他のイベントでもPALETTEのブースに出展した経験があり、今回の「ご縁日」ではショート動画やYouTubeでの発信を担う仲間を募集。多様なジャンルの参加者との交流から、食と地域資源をテーマにした次の展開へ、新たな一歩を踏み出しています。
さいたま市
世界に誇る大宮盆栽の文化を100年先へとつなぐために「盆栽ビジネスコンテスト〜伝統と革新でその先へ」を開催しているさいたま市。後継者不足や販路開拓、デジタル化の遅れといった課題を抱える中、次世代へつなぐ新たなビジネスプランを全国から募集中です。入賞者には賞金とともに、事業化に向けた伴走支援も予定されています。

さいたま市の担当者は「PALETTEを利用し始めたばかりですが、いろいろなスタートアップや会員さんと出会える場は貴重です。役所では得られない新しい技術や発想とつながれるので、とても刺激になります」と感想を語っていました。会場ではフラットな立場で情報交換が進み、普段の入札ベースのやりとりでは見えにくい課題やアイデアを共有できる場になっていたようです。
大宮盆栽村は100周年を迎えましたが、次の100年につなげるためには新しいビジネスの発想が欠かせません。AIやブロックチェーンなど異分野の技術とも組み合わせて、新たな可能性を見つけていく——PALETTEでの出会いが、その第一歩になるかもしれません。
思いがけない出会いが生まれる場所に
ご縁日に参加した来場者からは「一般的な展示会のようにブースが作り込まれすぎていない分、思いを持つ出展者の人たちとじっくり話せるのが良かったです。ジャンルも決まっていないので、普段は興味を持たない分野にも出会い、思いもよらない発見がありました。PALETTEは本当にいろいろな業種の方がいますよね。物販や体験も含め、また来月以降も参加したいです」といった声が寄せられました。

今回のご縁日では、ブースの多様性や偶然の出会いから交流が広がる様子が随所に見られました。準備された場ではなく、気軽に立ち寄って話せる雰囲気が参加者に好評で、出展者同士の新しいつながりにもつながっていました。今後も定期的に開催されることで、PALETTEならではの多様性を象徴するイベントとして根づいていきそうです。


