子どもとPALETTEで過ごす「親子オープンデー」
- MIRAI LAB PALETTE 運営事務局
- 4月24日
- 読了時間: 9分
MIRAI LAB PALETTE(以下、PALETTE)では、会員のお子さまに向けたイベントを定期的に開催しています。2025年3月27日には「PALETTE親子オープンデー」として、親子で楽しめるバルーンロケット工作教室と、日中の託児サービスを実施しました。
当日はお子さまと一緒に普段とは異なる世界を体験したり、プロのシッターに任せて仕事をするなど、学びとリラックスの両方を感じられる一日となりました。

今回のオープンデーは、宇宙開発を題材にした教育・研修プログラムを提供するStarry Canvas(スターリーキャンバス)と、チャイルドケアを担うSimplee(シンプリー)の協力によって実現しました。働く場所であるPALETTEが、親子で安心して楽しめる場へと変わった特別な一日をレポートします。
宇宙を身近に感じるバルーンロケット工作

親子オープンデーのメインは、宇宙の不思議について学ぶ工作教室。天気予報やGPS、BS・CS放送など、実は身近なところで使われている宇宙関連の技術を紹介した後は、「どこからが宇宙?」「宇宙の温度は?」「重力はあるの?」といった疑問を、クイズ形式で楽しく学んでいきました。

宇宙に飛び立つためのロケットについても学んだ参加者たち。イベントの後半では、空気でふくらませたバルーンに羽や重りをつけて、自分だけのロケットを制作。自由にカスタマイズしたバルーンロケットを、最後に「リフトオフ!」の合図で飛ばし、会場は大いに盛り上がりました。保護者が見守るなか、宇宙飛行士やロケットに興味津々な子どもたちの姿が印象に残りました。
開かれた場だからこそ生まれる出会い
PALETTEでの宇宙をテーマにした子ども向けワークショップは、今回で3回目。企画・実施を担っているのは、宇宙教育を専門とするStarry Canvasです。CEOの横山崇さんとCOOの高村苑実さんに、PALETTEとの関わりや今後の展望についてお話を伺いました。

——会社設立の背景を教えてください。
横山さん:Starry Canvasは、JAXAから生まれたベンチャー企業です。宇宙は一部の専門家だけのものと思われがちですが、GPSや天気予報に人工衛星の情報が使われるなど、実は生活に身近なものでもあります。私たちは宇宙産業の裾野を広げ、仲間を増やすために、より多くの方に情報を届ける活動をしています。
社会人や企業向けには、宇宙ビジネスや業界動向の解説、技術アドバイスなどを通じて宇宙産業への参入支援を行っています。一方で、若い世代には今回のような単発のワークショップや、教育機関と連携した半年以上の長期プログラムなどを提供しています。
——今日のワークショップでも、子どもたちの楽しそうな姿が印象に残りました。
横山さん:JAXA認定ベンチャーとして、若年層へのアプローチを試みています。宇宙の仕事に関わるには、理系を選んで航空宇宙工学科に進むしかないようなイメージがありますが、実際には文系理系を問わず、さまざまな専門分野の知識が必要です。だからこそ、進路を選択する前から宇宙に興味を持ってもらうことで、人生のどこかで宇宙に関われるようなキャリアのきっかけを提供したいと考えています。
高村さん:中学校・高等学校における探究学習の支援で1年間伴走したり、バルーンロケット工作のキットを複数の保育園に提供し、その後全国32カ所の保育園とオンラインでつないで宇宙とロケットのイベントを開催したりと、規模や場所を問わず、さまざまな学習機会をおよそ1,500人に提供してきました。

——PALETTEを活用することに、どのようなメリットを感じていますか?
横山さん:PALETTEではカードゲーム型教材「月面開拓ゲーム」の体験イベントなども行い、今回のワークショップが3回目となります。会社としてのスタートが2024年4月という創業間もない私たちにとって、開発したプログラムがお子様や保護者様にどれだけ受け入れられるかを実証できる、貴重な機会になっています。対象年齢を変えてみたり、参加者の反応を見たりすることで、プログラムの改善にもつながっています。
また、企業や教育機関の方々に私たちのプログラムに興味を持っても、教育プログラムの実例を直接現場で見るのはなかなか難しいのですが、PALETTEのように開かれた場所で開催できると、実際の様子を体験しながらお話ができるのは大きなメリットです。
高村さん:口頭で説明するだけではなかなか伝わりにくい宇宙教育の魅力も、子どもたちのリアルな反応を見ればすぐに伝わります。現場にいらした方の表情が、パッと明るく変わることもありました。企業だけでなく、自治体の方がいらっしゃることもあり、ネットワーキングの面でもありがたい場所ですね。
——今後PALETTEで取り組んでみたいことを教えてください。
横山さん:子ども向けのイベントは今後も継続していきたいです。また、PALETTEには普段から気軽に相談できる雰囲気があるので、自分たちだけでは出会えなかった方々に対しても、宇宙開発の入り口を提供できればと考えています。
高村さん:PALETTEでは対談形式のイベントも多く、宇宙とは一見関係がなさそうにみえる分野ともコラボレーションできそうだと感じています。ビジネスの場では「交換」が前提になることが多いですが、ここでは利他的な精神がベースにあるのが印象的でした。こういう場所からこそ、新しいイノベーションが生まれていくのだと感じています。
オフィス向けチャイルドケアがもたらす、新しい働き方
Starry Canvasによるワークショップが終わるころ、会場にはオレンジ色のエプロンをつけたシッターさんたちが集まりました。イベント終了後も続く親子オープンデーでは、法人向けオンデマンドチャイルドケアを提供するSimpleeによる託児サービスが実施されていました。

ワークショップの盛り上がりそのままに、シッターさんたちと遊んだり、疲れてぐっすり眠ったりする子どもたち。子どもを安心して任せられたことで、保護者は別のデスクで仕事をしたり、建物内でゆっくりと過ごしたりと、普段とは違う時間を過ごしていました。コワーキングスペースに託児サービスを提供することで、新たな価値を生み出すSimplee。代表の諏訪実奈未さんにお話を伺いました。
——Simpleeの事業について教えてください。
諏訪さん:オフィスで利用できる法人向けのオンデマンド型チャイルドケアサービスを提供しています。コワーキングスペースや企業と連携し、必要なタイミングだけ柔軟に利用できることが特徴です。これまでのチャイルドケアは、一対一で家庭に伺う形式が一般的でしたが、法人と連携することで、働き方の多様化にも応えられる仕組みがつくれると考えています。
私自身が出産・育児を経験していることもあり、子育てと仕事を無理なく両立できる環境の大切さを実感しました。保護者が社会とポジティブに関わり続けるには、育児負担の分散が必要です。そのためにも企業が福利厚生として、こうしたサービスを導入することが鍵だと感じています。
——PALETTEとの出会いや、これまでの取り組みについて教えてください。
諏訪さん:Simpleeは東京都のスマートシティ化の取り組みの一環としてご支援いただいており、そのご縁でPALETTEをご紹介いただきました。前回の親子オープンデーで初めてサービスを提供させていただいたのですが、想像を上回るペースで予約が入りました。2回目となる今回は、前回の経験をふまえてスタッフを増員し、できるだけ多くの方にご利用いただけるように準備しています。
オープンデーで子どもと一緒に出勤することで、通勤中に会話ができたり、お昼ごはんを一緒に食べたりと、日常とは少し違う時間を過ごすことができます。子どもが働く親の姿を見たり、シッターとのやりとりを通じて新しい刺激を受けたりと、保護者にとっても、普段見られない子どもの姿に気づく貴重な機会になっていると感じました。

——他の企業やコワーキングスペースと比較して、PALETTEならではの特徴はありますか?
諏訪さん:PALETTEには、最先端の技術や多様な分野が集まっている印象があります。今回は通常のシッティングに加えて、英語プログラムやIoT教材も取り入れましたが、子どもたちの学びや発見に対して、保護者の方々がとても前向きに受け止めてくださっているのを感じます。
保護者からのポジティブな声や、リピートで利用してくださる方の存在が、私たちにとっても社会的な価値を実感させてくれています。保護者とお子さまが一緒に過ごす時間の価値を高める機会を、PALETTEを起点に、社会全体に広げていけるよう取り組んでいけたら嬉しいです。
社員として、ユーザーとしてPALETTEを活用する

住友商事新事業投資第二ユニット ユニット長代理 奥瀬信皓
最後にお話を伺ったのは、ワークショップに親子で参加し、Simpleeのサービスを利用した奥瀬信皓。PALETTEを運営する住友商事の社員として、託児サービス「ピアシッター」の事業開発にも取り組んでいます。
——ワークショップに親子で参加された後、Simpleeのチャイルドケアを利用されていましたね。感想を教えてください。
奥瀬:学童や保育園に預けられるご家庭ばかりではないと思うので、仕事をしながらこういった仕組みで子どもを安心して預けられる機会があるのは、とても良いことだと感じました。うちの子も最初は少し泣いていましたが、最後には慣れて楽しそうに過ごしていました。普段とは違う環境に触れられるのも、子どもにとって良い刺激になったと思います。
一般的に、他人に子どもを預けることには、金銭面以上に心理的なハードルを感じる方が多いようです。そのハードルを越えられたら、シッターを利用する機会ももっと増えていくはず。そういう意味でも、PALETTEがその「最初のきっかけ」になり、子育てもキャリアも普通に両立できる世の中になるといいですね。

——事業開発を進めている「ピアシッター」とPALETTEの関係について教えてください。
奥瀬:「ピアシッター」は、同じ会社の社員同士で子どもを預け合うためのオンライン上のマッチングサービスです。実証実験の場としてPALETTEを何度か活用したのですが、マッチング後に「実際に使える場所」があることの価値の大きさを改めて感じました。たとえば、休日に子どもを預けて都心で買い物をしたい、自己研鑽したい、というニーズがあることも確認できましたし、良い機会になりました。
PALETTEは場所としてのポテンシャルも非常に高いと思っています。今後は土日も含めて託児の場所として活用できるようになれば理想的ですね。平日のビジネスマッチングに加えて、週末には子育てのハブとして、Simpleeさんのような外部シッターとの連携も含めて広がっていくような取り組みができたらと考えています。
まとめ
Starry CanvasとSimplee、そしてPALETTE会員のサポートによって実現した親子オープンデー。単なる仕事の場ではなく、知的な喜びと偶然の出会いがあるPALETTEらしい一日となりました。親子オープンデーは今後も定期的に開催し、家族とともに自分らしく働ける日々をサポートしていく予定です。新たな機会にぜひご期待ください。